新宝测速6

  • ホームHome
  • 大学院医系科学研究科
  • 【研究成果】傷ついた遺伝子を修復するはずなのに、別の部位に傷を作ってしまう2つ目のタンパク質を発見しました

新宝测速6:【研究成果】傷ついた遺伝子を修復するはずなのに、別の部位に傷を作ってしまう2つ目のタンパク質を発見しました

新宝测速6:本研究成果のポイント

  • 遺伝子(DNA)の損傷は、遺伝情報の変化(変異)を引き起こし、がんの原因となり(※1)、DNAの損傷の1種であるグアニンの酸化体(※2)は生じた部位にも離れた部位にも変異を引き起こします。
  • 本研究では、DNA修復タンパク質NEIL1(※3)が、グアニンの酸化体の損傷を除去してDNAを修復する一方で、逆にグアニンの酸化体とは離れた部位に別種の損傷を複数生成させてしまうこと、それが離れた部位に変異を引き起こすことを新たに発見しました。
  • NEIL1の性質は、DNA修復タンパク質OGG1(※4)の性質と類似しており、OGG1についで、修復?破損の両面性を持つタンパク質の2例目となります。

新宝测速6:概要

広島大学大学院医系科学研究科(薬学部)の藤川芳宏 助教(当時)、鈴木哲矢 助教、河合秀彦 准教授、紙谷浩之 教授のグループは、遺伝子の本体であるDNAの損傷を修復し変異を抑制するタンパク質であるNEIL1が、損傷部位から離れた部位における変異を促進していることを見出しました。

新宝测速6:背景

多くの生物の遺伝子の本体はDNAです。遺伝情報の変化は変異と呼ばれ、変異の蓄積ががん化に大きく関わっていることが知られています。変異の多くはDNAの損傷(化学的修飾)により引き起こされます。生物には、DNAの損傷を除去して変異を防ぐDNA修復タンパク質が備わっています。
 DNAの塩基の一つであるグアニンが酸化されると8-oxo-7,8-dihydroguanine(8-hydroxyguanine)などの酸化損傷塩基が生じます。この損傷塩基は常に細胞の中で生成していますが、DNA修復タンパク質が除去しています。
 ヒト細胞にはNEIL1と呼ばれるDNA修復タンパク質があり、別のDNA修復タンパク質OGG1とともにこの損傷塩基の除去に関与していると考えられています。
 以前に本研究グループは、この損傷塩基が生じた部分に変異を引き起こすだけではなく、離れた部位にも変異を引き起こすことを見出していました。また、OGG1がDNA修復タンパク質でありながら、離れた部位における変異を促進させていることも見出していました。

新宝测速6:研究成果の内容

今回、本研究グループは、ヒト細胞においてNEIL1をsiRNAによりノックダウンし(NEIL1の量を減らし)、グアニンの酸化体を含むDNAをその細胞に導入しました。損傷塩基から離れた部位での変異の頻度を解析すると、DNA修復タンパク質が減っているにも関わらず、変異が増加するのではなく、減少することを見出しました。また、減少した変異のパターンを解析すると、GpAという配列中のG(グアニン)における変異が減少していました。このタイプの変異は、内在性のAPOBEC3というタンパク質が好むTpC配列(GpA配列と相補的な(表裏の関係にある)配列)のC(シトシン)に生じていることになります。APOBEC3はウイルスなどの侵入者のDNAやRNAの複数のCをウラシルという損傷塩基に変えて侵入者から私たちを防御する作用を持っていますが、同時に私たちの細胞のDNAも傷つけてしまい、がんの原因の一つになっていると考えられています。
 今回の結果は、NEIL1が8-oxo-7,8-dihydroguanine(8-hydroxyguanine)に作用すると、結果的に別の損傷であるウラシルを複数生じさせて、離れた部位での変異を誘発することを示しています。すなわち、NEIL1はグアニンの酸化体が生じた位置での変異を防ぐ役割を持つ一方で、離れた位置で損傷の生成を引き起こして変異を促進する両面性を持つことを意味しています。同様の働きをOGG1も持っており、OGG1が例外的な存在ではないことを示しています。

新宝测速6:今後の展開

今後は、NEIL1とOGG1の関係や離れた部位における変異の生成機構を解明していきます。本研究の成果は、がん化の機構を理解し、それを抑制する方法の開発につながると期待されます。

新宝测速6:参考資料

  • 論文題目:NEIL1: the second DNA glycosylase involved in action-at-a-distance mutations induced by 8-oxo-7,8-dihydroguanine
  • 著者名:Yoshihiro Fujikawa, Tetsuya Suzuki, Hidehiko Kawai, Hiroyuki Kamiya*(*責任著者)
  • 掲載誌:Free Radical Biology and Medicine
    1月21日付でオンライン掲載されました。以下は論文のリンク先です。
    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0891584925000516
     

新宝测速6:用語解説

(※1)変異とがん:遺伝情報を担っているDNAはアデニン?チミン?グアニン?シトシンの4つの文字(塩基)からなり、この並びが遺伝情報です。がんに関連する遺伝子(がん遺伝子やがん抑制遺伝子)の遺伝情報の変化(変異)が複数回生じることで、がんが生じます。

(※2)グアニンの酸化体:遺伝情報を担っているDNA塩基のうち、グアニンは最も酸化されやすいことが知られており、種々のグアニンの酸化体が生成します。そのうち、今回の研究で用いられた8-oxo-7,8-dihydroguanine(8-hydroxyguanine)は代表的なものであり、最も重要なDNAの損傷の一つと考えられています。

(※3)DNA修復タンパク質NEIL1:Nei Like DNA Glycosylase 1の略で、グアニンの酸化体などの損傷を除去して変異を防ぐDNA修復タンパク質です。

(※4)DNA修復タンパク質OGG1:Oxo-Guanine DNA Glycosylase 1の略で、遺伝子を損傷(グアニンの酸化体)から守るDNA修復タンパク質でありながら、グアニンの酸化体から離れた部位で傷口を広げてしまう両面性を持ちます。

【お問い合わせ先】

 大学院医系科学研究科 教授 紙谷 浩之
 Tel:082-257-5300 FAX:082-257-5334
 E-mail:hirokam*hiroshima-u.ac.jp
 (*は半角@に置き換えてください)
 


up

新宝测速6股份有限公司